文芸船

うそつき

街角に立つと
幸せなふりをした嘘が
降り落ちてくる
冷え切った
嘘の滴が浸み通る

長靴を履いたぼくは
嘘から避難したままの
君の家に漕ぎ進む

玄関口で
ただの友達でいい
平気だよと笑う
ぼくも嘘つき

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