薄い雨音が僕の背中を叩く気づかないふりをしたい僕の背中を薄い雨音が叩く
ひとつぶのやわらかい言葉を握り締めていた
とっくに溶けてしまったのにまだ手の中にあるのだと僕は緩められなくて
薄い雨音が僕の手を打つやわらかい粒など初めからなかったのだと薄い雨音が打つ
薄い雨音が僕を包む
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