文芸船

薄い雨音

薄い雨音が
僕の背中を叩く
気づかないふりをしたい
僕の背中を
薄い雨音が叩く

ひとつぶの
やわらかい言葉を
握り締めていた

とっくに
溶けてしまったのに
まだ手の中にあるのだと
僕は緩められなくて

薄い雨音が
僕の手を打つ
やわらかい粒など
初めからなかったのだと
薄い雨音が打つ

薄い雨音が
僕を包む

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