文芸船

花火散る

青褪めた黒壁が咲き散る
ゆるりゆるりと
光が咲き散る

それは置き忘れた風景なのに
置いてきた風景から
欠け落ちていて

光の粒が額を苛む
瞳孔の奥に
沈めた錨を引き上げられる

花が散る
あの日と同じ花が
音もなく散る

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