文芸船

煙る夜

客がカートンを叩いた
透き通った空間に
煙が漂い始める

砕け毀れる灰に
僕は空き缶を差し出す
舞い上がる粉末に
客の容貌が霞む

払ったはずの煙が
シーツまで滲みていた
残された匂いは
君に抱かれた夢を誘う

もういない
夢の向こうに霞む
君の残り香に

文芸船profile & mail