文芸船

喘息の夜

喉元で空気が凍りつく
呼気が死に絶える
呼気に似せた胃液が零れる

仰向けは肋骨の重み
うつ伏せは背骨の重み
睡眠で途切れた意識は
永遠に断絶する呼吸に似て
枕を抱きしめたまま
座椅子の上で泣き続ける

雪の砂漠に唾を垂らし
薬を愉しんで窓にしがみつく
喘息の夜

文芸船profile & mail