近況つれづれ
2009-04-22
近所に美味しい和菓子店を発見しました。昨年の京都旅行で楽しみを覚え、今回買った和生菓子も穏やかな甘みと美しい練り切りで私の好みでした。
和生菓子と洋菓子を化学成分上で比較したときの最大の差異は脂質で、和生菓子は主に炭水化物から成る菓子です。脂質は味にまとまりを与えるため旨いと感じますが、繊細な旨味を隠してしまう側面もあります。戦後、マグロのトロやトラウト、牛肉のサシやポテトチップスなど脂身を重視する味覚が広がり、日本人の脂質摂取量も上昇しました。その一方、清涼飲料水ではほんの10年ほどの間で茶類が圧倒してしまったという例もあります。コンビニエンスストアもおにぎりが重要な商材だと言われています。
和食類もきちんと計画すれば大規模工場での生産も可能になると思われますので、低脂質を中心とした伝統食への回帰が盛り上がるとまた面白いのですが。
2009-04-16
転勤で新天地での生活が始まりました。小さな町ですが函館が近いのは助かります。また、旭川のような内陸の街は街の果てがどこまでも地続きになっていて、海岸のない場所はどうにも落ち着きません。私の親戚は海に関わる仕事についている人間が非常に多いせいかもしれません。最近は開き直って海の一族だと冗談半分に言ったりしています。ただそれも半分本気で、漁業と水圏に根ざす人と、農業と陸圏に根ざす人の間には意外なほど発想が異なります。誰でも知っていることですが、海は土地でや畑ではない。色々な人が海に関わることは喜ばしいのですが、折角なら水圏の感性も受け入れて欲しいものです。
2009-03-22
「あの日見た桜 」(藤野もやむ 、株式会社エニックス )をBOOK OFFで入手しました。今、引っ越しの準備中で本類もライトノベルはほぼ売却完了したはずなのですが、Webサイトで見かけて魅かれていた漫画だったので、後先考えず購入してしまいました。この作品は平家物語の時代、源頼朝の娘・大姫と旭将軍木曾義仲の子である義高の幼い悲恋を描いた漫画です。幼いゆえの直情すぎる哀しみが有名な物語なのですが、この作品は幼い可愛らしさをしっかりと描かれており、平家物語関係の悲劇物に多い硝子細工のような繊細さよりも、ふんわりとした暖かみが冷たく孤独に沈んでいく読み応えのある作品です。絵柄が少女漫画的なので、歴史物の戦いが好きな方だと合うか難しいところですが、非常に心に残る作品でした。
2009-02-22
Twitter というWebサービスがあります。サイトのトップ から説明を引用すると、「いまなにしてる?」という質問に短い文章で答えることによって、友だちや家族、職場の同僚とつながり合うサービス 、とのことです。書く内容は独り言のようなもので充分だとのことで、かなり気軽に使えるようです。このような気軽さはmixiやblogなどでもある程度は実現していますが、記事という体裁すら不要ということで、本当にコミュニケーションツールと割り切った内容です。
ただ、その気軽さは文章を書くという行為に対する覚悟や確固とした意思からは全く縁遠い世界にあります。まだメールなら相手に送信するという意思があるわけですが、これは本当に誰か仲間が見るだろうという漠然とした空気だけの文の記述にすぎません。独り言と割り切っているのだから、空中に拡散して溶け消えて良いような言葉の羅列に過ぎません。技術としては確かに面白い道具ではあるでしょうが、推敲すらされず溶け消える言葉を世界に氾濫させることに漠然とした違和感を感じてしまいます。
2009-02-11
最近、他のサイトを巡っていると途中で読み込みが停止してしまうことがしばしばあります。通信環境のせいもあるのでしょうが、それ以上にブログやアフィリエイトがまごついている様子。
最近のブログは、たとえ記事の中身が大した内容でなくても画像や簡易なアプリはほぼ必ず存在しています。ブログの両脇に並んだメニューと広告は過大で、それを簡易に読めるようにするためRSS フィードなども広まってきていますが、これもまた色々と詰め込み始めている印象があります。考えてみれば、パソコン本体の性能はずっと上がり続けているのにいつまでたっても表計算やワープロソフトはあまり軽くなりません。ITには、せっかく性能の隙間をつくると必死でまたぎりぎりまで埋め戻そうとする特性があるのでしょうか。
2009-02-01
以前からバナー以外のサイトロゴを欲しいと思っており、遂にサイトトップへ置きました。妙に少女趣味になってしまったのですが、恋愛物の多いサイトなので構わないでしょうか。さすがに色はそのうち変更するかもしれません。画像制作に使ったドローソフトのInkscape 、慣れると結構気軽に使えます。安価なドローソフトはソフト間の互換が少ないのが難点でしたが、このソフトのファイル形式は標準規格のSVG であるうえ無料なこともあり期待。仕事なんてExcelの簡易機能で済ましているし。
なお、魔戯画師(第3章第2節) 、公開しました。遅いペースですが完結はさせるつもりです。
2009-01-25
先日からどうも怪作を買ってしまう巡り合わせになっています。今回買ったのは「かおすキッチン 」(服部昇大 、集英社 )。悪の組織ダークオリエントと戦う魔法少女、という文面だけで書けば使い古され過ぎた感のある設定なのですが、その戦い方が敵を調理してしまうという悪趣味というか何と言うか。さらに絵柄や台詞回しも1980年代前半までの少女漫画の体裁で、それがまた逆に妙な笑いを引き起こす怪作品。単行本は表紙裏まで古いデザインを使うという凝り様です。表紙を含めて全体が一つの作品として成立している、稀で面白い漫画です。好みと合わないと危うい作品なので強くはお薦めはできませんけれど。
ここ10年ほど、漫画やライトノベル系では過去の作品を前提として笑いを組む作品が増えている気がします。例えばスレイヤーズや島本和彦作品などはその典型。この辺りの現象を文化論的に切り直したらまた興味深いかも。
2009-01-15
先週の連休から青山テルマfeat.SouJa の「そばにいるね 」を繰り返し聴いています。私はR&B とラップはほとんど聴かないのですが、この曲だけは非常に好みに合いました。じっくり聴いてみると、とにかく青山テルマの歌声が非常に抑制的で、またラップもかなり効果音に近い使われ方をしており、かなり一般のバラードに近い構成のようです。また、歌詞は見方によればJ-POPどころか演歌に近い内容だと感じました。ラップの中のキーワードを受けてまた歌詞が続く構成は会話的で、それも無理なお洒落ではなく等身大の、でも私小説的な生で切り出した現実ではなく再構成された世界になっており染み込む作品 だと思います。
この小さな不格好さは邦画の「天使」や「下妻物語」、「天使の卵」などにも共通するものを感じます。政治的に喧伝される伝統などよりもこういったものにこそ、日本的な何かがあるのかもしれません。
2008-12-08
遂に2008年も終わりが近づいてきました。まだ年賀状も準備していませんしクリスマスの予定もありませんが、とにかく忘年会だけは準備が進んでいる感じ。ところで最近、忘年会や新年会はどのぐらい行われているのでしょうか。私の以前の職場は年末が最繁忙期で、逆に年明けは赤字覚悟といった業界だったので新年会のみで、今の職場は逆に忘年会のみ行う傾向にあります。どちらかと言えば始まりに飲むより一段落ついたところで飲む感じが好きなので、忘年会という響きの方が私は好きですが、元旦営業する業界はそうもいかないでしょう。
キリスト教の安息日のような風習もなくお祭りも形骸化しつつある今、むしろ元旦の一斉休みを復活した方が世の中良いような気もするのだけれど。
2008-11-29
過去に製本の同人誌で発表した作品「紅い月鏡 」を一部改稿して公開しました。同人誌には多少作品を投稿してはいるのですが、Webでの新作発表が滞り過ぎているし。冬になって外に出るのも億劫になってきたので、多少は書くことも増えるかもしれません。まあ、仕事の気分次第なんですが。
併せてサイト全体の文字コードをShift-JISからUTF-8に変更しました。今のブラウザなら支障なく読めるはずです。ところでこのUTF-8の場合、以前にShift-JISでは使えなかった漢字なども表示できるそうなのですが、一方でWindowsVistaで入力していると「嘘」などは複数の字体が選択肢に現れることがあります。何でも国語審議会が印刷標準字体というものを定めた関係らしいのですが、そのうち何かと混乱が起きそうな。
2008-11-17
先日、とある作家の講演会で出身地や故郷の話がありました。私は北海道にずっと住んでいますが、北海道内では道央、道南、道東と移動しており、これからも転勤で各地を転々とする予定です。私の場合、とりあえず故郷は実家があって高校まで過ごした街を言うのですが、私にとって大学時代と社会人の最初を過ごした函館は格別の場所であり、何となく故郷を1つに絞って語ることに躊躇してしまうことがあります。私のような転勤族が転勤して住み始めたとき、果たして地元民なのか外来の者なのか。たぶんそれを明確に区切ることは出来ないのでしょうが、その曖昧な自分の立ち位置を私は時折、遠くから眺めていたい気分になります。
2008-09-22
もう最近は月1回の更新になってしまっています。今年は少なくとも10月に入るまでは忙しさで文章を書く気になれず。忙しいと、文字を書くより単純に音楽を聴く方が気持ちが安らぐようです。
そんなわけで先月頃からCDを買いまくっているのですが、音楽ジャンルや分類のばらつきが難しい。iTunesに取り込むと一応ジャンル分類されるのですが、中には首を捻らざるをえない分類も。とくにJ-POPという分類は本当に意味不明。何とも迷惑な分類を提案してくれたものです。
ただ、iTunesによって、音楽の分類や属性について一般の人も再考する機会が生まれたことは歓迎すべき話で、これからまた新たな分類や、それに伴う新たな分野が生まれてくれないかな、と期待。
2008-08-10
BOOK OFFで「オペラ座の怪人」通常版DVDを発見。即買ってしまいました。蒐集に興味が薄いので豪華版は見かけても手を出さずにいたのですが、通常版なら安いし。ロイド・ウェバーの音楽と、このミュージカルの切ない筋書きが非常に好きです。最初のシャンデリアが上昇する場面が本当に好きで、早速何度も繰り返し再生して観ました。もう一度劇団四季の舞台を観てみたい。華やかな舞台物と言えば、井原西鶴の好色五人女辺りを映画にしてくれないだろうか。八百屋お七やお夏清十郎なら案外、恋空が好きな層にも受けそうな気がするけれど。
2008-07-16
「僕らの変拍子 」(冬目景 、幻冬舎 )を読みました。少し古めの画風で好き嫌いのある画風ですが、平凡な日常の中のすれ違いや揺れ動く気持ちの濃密な空気を上手く描く漫画でした。青春の中の、振り返って取り戻したいけれど取り戻せない何か。そのもどかしいけれど懐かしいものを思い返させてくれる短編漫画です。 幻冬舎の漫画は薄い憂鬱とほろ苦さを持った漫画が多い感じがしますが、どれも癖が強い作品だからか販売がなかなかなくて残念。
2008-06-01
映画「カスピアン王子の角笛」を観てきました。原作から多少の改変はあったものの、だいたいは忠実。長時間ですが飽きずに見られました。中でもナルニア国物語シリーズで印象的な登場人物の1人、ネズミの騎士リーピチープが良い感じに動いていたし。監督もかなりリーピチープが好きなのかなと思ったり。そういえば映画の配給元はディズニーですが、ディズニーはずいぶんとミッキーマウスといいリーピチープといい、ネズミに縁のある会社だ。
2008-05-30
また仕事がばたついてきたため、ここ2週間ほどは私用のパソコンをほとんど起動せずに過ごしました。私としてはかなり珍しい状態。とくにネット導入以後はほぼ毎日起動していたので不思議な感じ。でもしばらく起動しないと、それはそれで気にならなくなってくるものです。テレビもDVDを観る以外ではほとんど見ないし。これを思うと、忙しい人やニュースに興味のない人がやたらと世間の動きに疎くなるのもわかる気がします。都市のコンクリートに住まう世捨て人や、逆にコンクリートの奥に隠遁するコンクリート林の七賢者とか、そんなのが現代の風景なのかな。
2008-05-18
このところ、休日は怠惰な生活を送っています。何となくドライブ、Web閲覧でだらだら。しばらくどたばた続きだったので少し気分がのび気味なのか。生来やたらとあれこれ吸収して歩くか逆に何か作っているかの人間なので結構珍しい状態。まあ数年に一定期間ぐらい、そういう時期もあって良いかなとか。時間を無駄にしている気はするのですが、それに対して苛立ちもないので今はこれで良いのかな。
ただ何もなくだらけた状態って小説に書いたらどうなるんだろう。緊張感を完全に抜いた小説というのも変なおかしみが出そうな気もするけれど。そのうち試してみるか。
2008-05-12
「少女には向かない職業 」(桜庭一樹 、東京創元社 ) を読みました。幼い語り口とどこか非現実性を帯びた描写が混じりつつ、幼さから大人へ向かう途上の揺れ、脆い強さが絡み合ったミステリーでした。思春期の色彩の濃厚なミステリーについては、この人の作品はいずれも秀逸です。先日、少女ものは飽きたといった発言があったそうですが、少女ものが桜庭作品の真骨頂だと思えます。
ところで昨日、映画「相棒」を観てきました。この主役2人の組み合わせの妙が私は非常に好きです。とくに刑事物のわりには単純な熱血ではなく冷徹さをきちんと確保している点にかなり好感を感じます。世の中、人情と熱血だけじゃどうにもなりませんよ、と。
2008-04-29
飛び石連休なので中途半端な時間を過ごしてしまいました。それでも何とか原稿は仕上げられたので幸いでした。本当は30日 が締切なので今日投函ではかなり危なっかしいのですが、どうも仕上がらなかったので申し訳ないということで。
ところで今日ガソリンスタンドに行ったところ、やはり車が次々と給油していました。みんな少しでも安くしたいのだなと思いつつ、1回の給油だと千円も安くはならないのだよな、とも思ったり。まあ腐るものでもなければ品質も変わらないのでますます必死になるのかな。
2008-04-27
投稿原稿を書くため、以前に読んだ小説や漫画を幾つか再読しました。このところ本は1回読みで何度も読み返すことが少なかったのですが、期間を置いて読み直すと新たな発見があるものです。今回は桜庭一樹のライトノベルを中心に据えた評論っぽい随筆を同人誌に寄稿する予定なのですが、文学系の同人にこれを投稿したら編集長はどう思うのだろうか。おっかなびっくりながら挑戦してみる。
2008-04-21
しばらく多忙な状況で精神的にも余裕がなく、私用パソコンの電源すらほとんど入れない日々が続いていました。そんなわけで久しぶりにとりあえず起動して日記を書いています。とにかく今のパソコンはセキュリティ関係のアップデートが多いので、数週間起動しなかっただけでずっとネットワークが様々なソフトのアップデートばかりしている状態。ソフトを使って作業をしたいのに、ソフトのメンテナンスにパソコンがとられてしまう。全く莫迦らしい矛盾な世界。原稿を書かなければならないのですが、構想のみで停止した状態。木曜日以降に書けるかな。
2008-03-30
このところかなり多忙なせいであまり文章を読み書きする気になれず。普段回っているサイトを見ても更新のペースがいつもより遅い感じがするのはみんな同じような状況なのかな、と少し安堵した気分になります。
今日は東儀秀樹の「雅楽」を買いました。このCDアルバムには簡単な雅楽入門の冊子が歌詞カードの代わりに同封されており、雅楽に馴染みのない一般人には非常に良いつくりになっています。小中学校の音楽の授業を受けるより、このCDを聴きながら冊子を読んだ方が勉強になるかもしれません。
ところで久しぶりに自宅で飲むお酒を買いました。スパークリングワインの「フレシネ コルドン ネグロ(Freixenet CORDON NEGRO )」で、かなりの辛口。セブンイレブンで買ったので軽い甘口だと思っていたのですが、ちょっと当てが外れた気分。まあそれなりに美味しくはあるけれど。
2008-03-22
AppleからWindows用の新しいWebブラウザ「Safari 」が出ていたのでインストールしてみました。これはMacで標準で使われているWebブラウザのWindows移植版で、iTunesに似た操作感です。私のサイトはほぼ意図どおり表示されたので一安心。ただしこのブラウザ、アンチエイリアス (文字を滑らかに見せる技術)が強く使われているので文字が滲んで見にくい。Mac用はその技術の使用を前提としたフォントだから問題にならないそうですが、Windowsには合わないかも。
2008-03-13
NightWish のCD「Once 」を買いました。メタルロックと甘い美声の絡む、フィンランドのバンドです。メロディアスロックの系統で旋律がきれいな曲、ミュージカル風の曲も幾つか含まれています。欧米と言いつつ、北欧は少し毛色の違う伝説や文化を持っていますが、音楽の流行などもちょっと違う感じがします。 水産国家も多いし興味のある国々。でも海外旅行に行くにはあまりにも旅費が高いのは残念。
CDもどちらかと言うとマニア向けに分類されている感じもありますが、きっかけがあれば艶やかな曲なので受けそうな気もするのですが。
2008-03-03
「Grand Finale(ALI PROJECT) 」と「FALLEN(EVANESCENCE) 」、個性的な女性ボーカルのCDアルバムをまとめて2枚購入しました。Grand Finale はオーケストラアレンジアルバムでしたが、さすがにオーケストラにはボーカルが負け気味で、ボーカル好きの人にはつらいアルバムかもしれません。ただ、演奏はミュージカルのように華やかな作りで満足出来ました。一方、FALLEN は艶っぽさと重量感のあるギターが強烈。邦楽にはない美しい相反を抱えた曲でした。
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